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舌をペロリと出したその絵柄から、”べらぼう凧(だこ)”とも呼ばれる郷土の玩具、「能代凧」。その昔、北前船をはじめとした商船の寄港地として栄えた土地で、港の目印の役割を果たしていたという言い伝えが残る伝統の凧は、やがて子どもたちの遊び道具として広まり、最盛期はいくつかの専門店が街にありました。
しかし、時代の移り変わりとともに、その需要は徐々に減少。腕を競い合った職人たちが連鎖的に店を畳むと、ついには北村凧提灯店一軒のみが、伝統の守り手として残される格好になりました。「私が幼いころは、それこそ正月ともなると空に無数の凧が舞ったものですが、今は人の興味をひくものがいっぱいある時代ですし、外へ出て遊ぶ子どもも減ってきていますから。だけど学校の社会見学などで凧に触れた子どもたちは、本当に楽しそうに糸を持って走り回るんですよ。」目を細めてそう語るのは、同店三代目となる北村夫妻。
最近では、魔除け、縁起物として家に置く人も増えているとのこと。北村凧提灯店では店舗に展示室を設けたり、タコづくりの見学会を行ったりと、昔遊びの楽しさや文化を伝える取り組みを一歩一歩進めています。
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