●2014年 あきたびじょん1月号掲載記事(編集・発行:秋田県広報広聴課)

掲載文のご紹介

 舌をペロリと出したその絵柄から、”べらぼう凧(だこ)”とも呼ばれる郷土の玩具、「能代凧」。その昔、北前船をはじめとした商船の寄港地として栄えた土地で、港の目印の役割を果たしていたという言い伝えが残る伝統の凧は、やがて子どもたちの遊び道具として広まり、最盛期はいくつかの専門店が街にありました。

 しかし、時代の移り変わりとともに、その需要は徐々に減少。腕を競い合った職人たちが連鎖的に店を畳むと、ついには北村凧提灯店一軒のみが、伝統の守り手として残される格好になりました。「私が幼いころは、それこそ正月ともなると空に無数の凧が舞ったものですが、今は人の興味をひくものがいっぱいある時代ですし、外へ出て遊ぶ子どもも減ってきていますから。だけど学校の社会見学などで凧に触れた子どもたちは、本当に楽しそうに糸を持って走り回るんですよ。」目を細めてそう語るのは、同店三代目となる北村夫妻。

 最近では、魔除け、縁起物として家に置く人も増えているとのこと。北村凧提灯店では店舗に展示室を設けたり、タコづくりの見学会を行ったりと、昔遊びの楽しさや文化を伝える取り組みを一歩一歩進めています。


●2013年DC(デスティネーション・キャンペーン)は10月1日から12月31日の期間、秋田県において「あきたにしました」を
 メインテーマに開催されます。開催前からさまざまにPRが行われており、JR東日本の会員誌「大人の休日倶楽部ジパング」9月号には、
 秋田新幹線スーパーこまちが登場し、”赤”に出会うのページには、当店北萬伝統の「べらぼう凧」がデザインされています。

※DC:北海道旅客鉄道東日本旅客鉄道東海旅客鉄道西日本旅客鉄道四国旅客鉄道九州旅客鉄道JRグループ旅客6社と指定された自治体、地元の観光事業者等が協働で実施する大型観光キャンペーン

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    ●2012年12月29日の北羽新報に「天空を舞う極彩色」として当店の記事が掲載されました。 (記事全文はこちら)

天空を舞う極彩色

伝統の能代凧を制作販売する能代市日吉町の「北萬」こと北村凧提灯店。継承するのは北村功さん(65)、マツ子さん(63)だ。「商売として成り立つようなものじゃありませんが、今もわざわざ買い求めに来る人がいる」と極彩色の能代凧と明治時代から続く老舗の看板を守り続けている。

愛嬌のある「男べらぼう」「女べらぼう」、「岩見重太郎」や「加藤清正」など勇壮な武者絵といった色彩豊かな絵柄と、北風に絶える骨組みが特徴の能代凧。北萬は、明治20年の創業で、初代は北村萬左ヱ門さん。2代目の長三郎さんは平成20年11月に90歳で亡くなるまで伝統の技法を守り続けてきた。長三郎さんが描いた22枚は、その価値が認められ、県立博物館(秋田市)に収蔵されている。

 現在3代目として受け継いでいるのは長三郎さんの二女マツ子さんと夫の功さん。マツ子さんが凧絵を、本職が大工の功さんが骨組み作りを担当する。
マツ子さんは、中学生のころから長三郎さんの凧作りを手伝ってきた。「言葉には出さない人でしたので」と、父親のそばで所作を見ながら技法を学んだという。「線描き」と言われる下絵を任されるようになったのが、今から20年ほど前。その後、はけの微妙な強弱でふくらみのある髪描き、全体の色付けと、北萬の凧絵を全身で覚えていった。

 線描き、髪、骨付け、色付けと凧が出来上がるまでの全工程は、朝から晩まで根を詰めても3日はかかる。「髪を描く時が最も集中する。なびかせるためには、はけの力の入れ具合、浮かせ方に注意を払います」とマツ子さん。「一筆でも間違えたら終わりですからね」と緊張する。

 昔、絵柄は27〜28種類を数えたそうだが、今では、べらぼう3種と大黒、えびす、岩見重太郎、加藤清正、義経、九紋竜など計13種類。注文が舞い込んでもすぐにできないため、あらかじめストックを用意しておく。もっとも引き合いの高い絵柄は、「女べらぼう」だそうだ。「男べらぼう」とセットで作製するため、男べらぼうがあまってしまうと苦笑いを浮かべる。「凧といえば一般的に武者絵。べらぼうはあまりないと聞いている。特に女の舌を眺めているのが珍しいそうで、わざわざ県外から買い求めに来る人もいる」と功さんは語る。

 昨年は仙台市で東北電力主催の能代凧展が開かれた。今年は国立民族博物館(千葉県千葉市)が所蔵・展示用として「男べらぼう」と「女べらぼう」をセットで購入。知名度は全国に及ぶ。 先代の長三郎さんも生前、「凧は商売にならないよ」と話していた。マツ子さんは「ちょくちょく出るようなものではありません。でも、県外からの旅行者が立ち寄ってくれたり、せっかく来てくれた人にありませんと言えない。父親が頑張って残してくれたものを私たちも続けていきたい」と言う。

 夫婦二人は毎年、凧揚げを楽しんでいる。「凧は揚げてこそ凧。楽しいですよ。凧絵だけ売ってくださいという人もいますが、私たちは凧揚げを楽しんでほしい」とマツ子さん。功さんも「子供たちにこそ、凧揚げの楽しさを伝えていければ」と話す。
制作販売している凧は、半紙8枚分の大型の「8枚判」と「4枚判」「2枚判」「1枚判」のほか、新たに「2分の1判」「4分の1判」も制作。ミニサイズは贈答用として人気がある。すべての凧に骨組みが付いており、ここに、二人のこだわりが表れている。 

 

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●2012年1月9日の朝日新聞(秋田版)「忘れられた秋田人」に当店の記事が掲載されました。 
 大きな画面でご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。⇒大画面

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●「ふるさと玩具図鑑」に掲載されています。

かわいい、美しい、ほっこり、こころあたたまる、ふるさとの玩具、北海道から沖縄県まで、47都道府県別、約360点を掲載(本帯より)


当店制作の「べらぼう凧」がこの本に掲載されています。ふるさと玩具図鑑

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